GASという言葉をご存知でしょうか。
Gear Acquisition Syndrome 機材依存症とでも言うのでしょうか。
私はyoutubeでこの言葉を知り、「あ〜わかる」と嘆息しました。
一つ買ってはすぐに次のものが欲しくなり、次々と機材を買わずにはいられなくなる状態のことを指しています。
別に趣味なら好きに買ったらいいという考え方はもっともですが、依存症というからには大きな弊害があります。
お金がいくらあっても足りないと言うのは脇に置いて、最も大きな弊害は時間を食われることです。
欲しくなった機材のことをあの手この手で調べるのに費やす時間、買ってからその機材をセットアップするのにかかる時間(置く場所を作り、配線を整えるなど)、そして使い方を習得するのに費やす時間。
そもそも良い曲を作るために手に入れようとしたはずが最も貴重なリソースである制作時間を削るという大きな矛盾にハマることになります。
これは自戒を込めています。
自分がどういう時にGASに負けて衝動買いに走るのか、どういう行動をとるとGASに抵抗できるのか、いくつか分かったことがあるのでシェアしてみます。一例として参考になれば幸いです。
GASが忍び寄る時
経験上一番危険なのは「ストレスが溜まっている時」です。
といっても漠然としすぎなのでより具体的に言うと「忙しくて制作にとれる時間がなくてストレスが溜まっている時」です。
今よりもっといいものが作りたい、という気持ちはあるが十分に時間が取れない。仕事の休憩時間にネットを見ると魅力的な新製品や欲しかった機材の中古が安価で売られている。そして「今より前進するためにこの機材が役に立つ気がする!」という思考に見事にハマります。身に覚えのある方もいるのではないでしょうか。
そして上記のごとく制作からさらに遠ざかると言う悪循環。
GASとの付き合い方
当然ながらGASを遠ざけるためには逆のことをするのが最も根本的な解決になります。
つまり「制作時間を増やすこと」です。
違ったアイデアを持って今ある機材を使うことで新たな一面を見出す。そして「まだまだやれることあるやん」と気づけば新製品に対する興味がいつの間にか薄れていた、と言うことを経験してきました。(毎回とは言いませんが、、)
しかし制作時間を増やすのが無理!という状況もあるでしょう。
次善の策としては以下のようなものがあります。
・手持ちの機材の説明書を熟読する
長く使ってきた機材でもなかなか全てを知り尽くして機能を使いこなしている、という方は少ないのではないのでしょうか。新たな機能に気づけば新たな気持ちで機材と向き合うことができます。実際電子音楽界の言わずと知れたトップアーティストであるスクエアプッシャーやフローティングポインツも手持ちの機材を知り尽くし、使いこなすのが好きだ、それでこそ面白い曲ができる、言う主旨のコメントをしています。
・自分の制作ジャンルのマスターピースを聴く
時代を超えて聴かれ続けているものこそマスターピース、と考えると当然それらの多くは今我々が手にしているものより前の世代の機材で作られたものがほとんどでしょう。それらの多くは現代の機材ほど多機能、高機能ではないはずですが、それでこんなに素晴らしいものが作れるんだ、と改めて気づくことで目を開かせてくれます。そして反省させられます。
・好きなアーティストのインタビュー記事や自伝を読む
個人的にはこれが最もおすすめです。
例外は少なからずありますが(特に電子音楽界隈には)、少なくとも私が敬愛するアーティストの中には大量の機材を保有したから良い曲が作れたと言う人はいませんでした。皆手持ちの機材、使い慣れた楽器をアイディアを駆使して使い倒し、独自の世界を作り上げていました。GASで浮ついた気持ちになる時は彼らのインタビューが一番効きます。
経験上、機材関連のサイトを見ないなど「〜をしない」という制限はなかなか続かないので、それらを見る時間を別の情報を収集する時間に置き換えるというのが効果的だと思っています。実際これらは時間をかけた分だけ新たなアイデアの種を手に入れられるため有益です。
以上、自分に言い聞かせるようにして書いてみました。
皆様の音楽ライフの参考になれば幸いです。
私はThe Midlife Synthesist氏のチャンネルでGASを知りました。↓