Octatrackについて

Octatrackってどういう機材?

Octatrackというと、「難解である」、「素晴らしい」、「唯一無二」など興味をそそられる評価を多数見受けます。私も購入前にはなかなかイメージがつかめず(日本語の情報は少ない)、散々各種サイトを巡って情報収集する羽目になったので、これから導入を考えている方に向けて私見を述べてみます。

Elektronのホームページをみればこの機材が

サンプラー

エフェクター

ミキサー

ルーパー

MIDIシーケンサー

の機能を搭載していることはすぐにわかりますが、この機材の凄みはそれらが自由な組み合わせで互いに作用し合う仕様になっていることにあります。

例えば外部シンセの音をラインで取り込み、エフェクトを通し、サンプリングしてピッチを変えた音を、ルーパーに取り込み、さらに外部エフェクターにセンドリターンした音をメインミックスにまとめる、なんてことが一台でできる。それも他のトラックで別のサンプルを再生しながら。パフォーマンスサンプラーという代名詞も納得の仕様です。

使い方はプレイヤーに委ねられている部分が大きく、膨大な選択肢を与えてくれる反面、ある程度決まった使い方しか必要としない人には宝の持ち腐れを超えて使いにくい不自由な機材になってしまう可能性があります。

私自身ある程度覚悟を決めて購入したものの、ある程度自由に使えるようになるまでには説明書を片手に一つ一つ学ぶのが億劫に感じました。使い始めて3年以上経過した現在は自分に必要な機能は概ね把握し、もはや手放せない機材になっています。

上記のように自由度の高い機材である点はモジュラーシンセに近いと思います。Octatrackの8トラックに”マシン”という一定の役割を持ったモジュールを自由に割り当てられる点や各トラック間でオーディオ信号の自由なルーティングが可能な点などは正しくモジュラー的です。

この機材は初見で使いこなすことがほぼ不可能と考えられるので、店頭で触っても訳がわからず敬遠してしまうかもしれません。一定時間を習得に費やさなければ自分に合う機材なのか判断するのも難しいでしょう。しかし敢えて適性をあげるとすれば

「一つの機材をじっくり使い込むのが好きな人」

「人と違う使い方を探すのが好きな人」

にはベストな選択肢になり得ると思います。

個人的な使用例

いろんな使い方ができると言われてもなかなかイメージが湧かないと思うので、これまで私が経てきた中から使い方を二つ例示してみます。Octatrackの8トラックに割り当てたマシンとそれに担わせた役割を記載します。

1: ドラムシンセとのコンボ

この例のドラムシンセ(alpha base)は11トラックそれぞれにMIDIチャンネルが割り当てられており、OctatrackのMIDIシーケンサーでトリガーやMIDI CCが操れます。そこでドラムシンセをOctatrackでシーケンスすることで、ドラムシンセの内部シーケンサーでは不可能な複雑なシーケンス(パラメータロックやLFOを使って)をOctatrackで行うことができます。

具体的にはこのように設定しました。

この例だとkick drumをMIDIのチャンネル1で操っており、CCでtuneやdecayなどをシーケンスの中でリアルタイムに操れます。

この手法で作った実例がこちら

2:ライブプロセッシングマシーンとしての使用

現在はPick up (ルーパー)マシンを使って入力音をリアルタイムで処理しながら制作するスタイルに興味を持っています。

フィールドレコーディングしながらリアルタイムで処理している動画がこちら

Elektron製品全体を通して言えることですが、基本的にループを作成して曲を制作するスタイルになるので、普通に使えば得意とするジャンルはテクノやハウス、ミニマルミュージックなどになろうかと思います。

個人的には最近はできるだけそれらの枠から外れてより実験的な使い方ができないか試行錯誤しています。この機材の底はまだまだ見えない。

この記事が今後導入を検討している方の一助になれば幸いです。

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