Octatrackの備忘録 「音が出ない!」時

Octatrackとはかれこれ4年以上の付き合いになりますが、久しぶりに音が出ないトラブルに見舞われてひとしきり悩んだので自分への備忘録を兼ねて書いてみます。Octatrackは私にとって初めてのハードウェアサンプラーだったので最初は特にストレスを感じていました。

Octatrackはサンプルを再生するにあたり再生箇所やその音量一つとっても多くの選択肢を提供してくれています。しかしその分ハマる落とし穴も多いと言えます。

原因は

1. サンプル自体の設定

2. サンプル再生の設定

3. 音量の設定

に大別されます。

1. サンプル自体の設定 再生箇所とサンプルのゲイン

サンプル設定。スタートポイントとエンドポイントがこうなっていると音が出ません。

まずはサンプル自体の設定が原因の場合です。OctatrackでAEDのボタンをクリックするとサンプルを編集する画面に入ります。ここでTRIMの項目から入るスタートポイントとエンドポイントの間が無音だと当然ながら音が出ません。またちゃんとスタートポイントとエンドポイントの間に波形が出ていても、再生時間が短すぎて波形まで辿り着くまでに再生が終わってしまっていたら音が出ません。

これは特にスライスをオンにしているときにハマりがちです。Octatrackは自動でスライスしたときに再生ポイントを波形の立ち上がりに合わせてはくれません。

もう一つがサンプルのゲインが下げてある場合。Octatrackはサンプルを元々の音量から-24dB〜+24dBまでゲイン調整ができます。これは非常に柔軟で便利なのですが、最低まで下げているとほとんど聞こえないこともあります。(先日私がハマったのはこのパターンでした。久々に使ったサンプルでなぜこんな設定だったのか思い出せません。)

2. サンプル再生の設定 再生位置とRATE, AMP, フィルター

サンプル再生の設定画面

次は再生時の設定が原因の場合。SRCボタンで入る再生開始位置(STRT)と再生の長さ(LEN)もここで設定される再生範囲に波形がなければ音が出ません。

そしてRATEの設定も最初わけもわからず触っていた頃は落とし穴にハマりました。これは再生方向と速度を設定するのですが63(順方向再生=通常の再生)〜-63(逆再生)までの間を柔軟に設定できるのですが0にするとどちらの方向にも再生されない、つまり無音になります。この設定要る?と思いましたが何かに使えるのでしょう。

AMPで入るアンプエンヴェロープの設定はシンセの仕組みを知っている方にはお馴染みですが、シンセ初心者で入った私は最初意味がわかりませんでした(Octatrackで学んだと言えます)。AMPではATK(アタック), HOLD, REL(リリース)の設定でサンプル再生時の音量変化の波を作り出すのですが、この音量変化の時間経過中にサンプルの適切な箇所が再生されなければ期待通りの音が出ないわけです。

ここの設定をいろいろと実験することで予想外の音が飛び出して来るのがサンプラーの醍醐味と思っていますが、最初は訳が分からず頭を悩ませました。

フィルターの設定次第で音が出ないと言うのはわかりやすいですね。新しいサンプルを設定したときに前のサンプルの時のフィルター設定が残っていて全周波数カットしてしまっていたというパターンです。

少し話はそれますが、Thruマシンで外部の音を通す際によく忘れるのがThruマシンのトラックにnoteを置いておかなければ音が出ないということです。noteがトリガーされて初めてGateが開いて音が通ると言うことですね。

3. 音量 VOL, track LEV, master LEV, MIXER , サンプリングする際はmixer gainも

ミキサー設定画面

Octatrackではさらに4箇所音量調整を行う選択肢を与えてくれています。一つはAMPのVOLこれは単純に音量を増減できます。-64〜0〜+63で0が通常設定です。-64だと音が出ません。

次がそのトラックのLEV(ボリューム)。さらにトラック8をマスタートラックにしている場合はトラック8のLEVでも音量調整ができます。

そして最後にMIXボタンから入るミキサーのMAIN(最終出力)の調整。ここでも-64〜0〜+63の間で調整できます。つまりサンプル設定を含めると最大5箇所で音量調整ができるわけですね。改めて考えると凄まじい柔軟性です。そしてこれらのどこか一つでも0になると音が出なくなるわけです。

ちなみにサンプリングの際はmixer gainの調整が重要です。低すぎると音が聞こえません。

音が出ない時はまず各種設定をリセットしてみる

上記の設定のどこかに不都合な箇所があるはずですが、困ったときにおすすめなのがOctatrackのパラメーターをリセットするコマンドです。SRC, AMP, LFO, FX1, FX2はそれぞれのボタンをホールドしながらNOを押すと初期設定に戻ります。サンプル再生とAMP設定、LFO、エフェクトが原因の場合はこれで解決できることが多いです。

これでダメならサンプル自体の設定と各トラックの音量の確認、あとSRCのSLICをOFFにしてみるという感じでしょうか。

このようにサンプラーとしての機能が非常に充実しているがために、仕組みがわからずに触っていると「なぜか音がでない」という事態に直面することが多いのもOctatrackが難解だと言われてきた理由の一つかもしれません。

しかし裏を返せばそれだけサンプルを細かく加工できるということなので、使い方がわかればその機能に感動できます。

この記事がこれからOctatrackを使い始める方の一助になれば幸いです。

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