Octatrackのルーパーとしてのポテンシャルを考える

  • 2024-12-17
  • 2024-12-17
  • Gears
  • 9view

最近Soma laboratoryのTerraを入手し、ルーパーと組み合わせて演奏する方法を考えているのですが、Octatrackと一緒に使うことがなかなか難しいことに気づきました。そのため従来の使い方を見直す必要に迫られています。

Terraにはシーケンサーがついていないので基本的に手を離すと無音になります。(厳密にはHold機能があるので持続音は鳴らせますが)Terraは右手でnoteを左手でtransposeとtoneの変化を加える仕様になっており、両手を使って初めて本領を発揮できるシンセサイザーです。

一方Octatrackもさまざまな操作をFunctionキーを押しながら他のキーを同時押しするなど両手操作が求められるシーンが多くあります。要はどちらも片手間で扱うことが難しい機材なのです。

しかしOctatrackが持つリアルタイムで音を加工する際の柔軟性は魅力的であり、なんとかOctatrack自体の操作を減らしてルーパー機能を扱えないかと試行している中で、今の設定にとりあえず落ち着きました。Youtubeに上げていた動画の方に「どうやって音のレイヤーを作っているの」と質問がありましたので解説動画を作りました。

せっかくなので備忘録も兼ねて文章にしておこうと考え、こちらに書いておきます。

1. Machineの設定

シンプルにするためT1~T4を全てFlexマシンにし、サンプルにはRecording1を割り当てます。ここが面白いところなのですが、OctatrackのFlexマシンはR1~R8のRecorder Trackのどれでも割り当てることができ、一つのRecorder Track(今回はRecording1)をT1~T4すべてで同時に使用できます。

T6はThruマシンを割り当て、Terraからの音を通しています。

T5, T7は使用しておらず、T8はマスタートラックです。

まとめるとこうです。

Track1: Flex SRC→Recording1

Track2: Flex SRC→Recording1

Track3: Flex SRC→Recording1

Track4: Flex SRC→Recording1

Track6: Thru INAB

Track8: Master

2. FXとLFOの設定

T1~T4のトラックそれぞれで違うエフェクトやLFOの設定をしておくことで、同じBuffer(Recording1)を使用して異なる音色やフレーズのレイヤーを自動的に生成することができます。

3. Sceneの設定

Sceneの設定でT1~T4, そしてT6(オリジナルの音)のバランスを調整します。

Scene 1: T1のみOn

Scene2:T2のみOn

Scene3:T3のみOn

Scene4:T4のみOn

Scene16:T6のみOn

このような設定でSceneAにScene1をSceneBにScene16を割り当てておくと、フェーダーを使ってT1とT6の間で音量のバランスをとることができます。

私はScene9をT1~T4全てOnの設定にし、オリジナルの音のみのScene16との間をフェーダーで調整することでT1~4, T5の計5レイヤーを形成して演奏していました。

4. Recorderの設定

Recorder trackのトリガーはStep1に置いておきます。これにより再生時にシーケンサーがStep1に到達するたびにRecorder1が上書きされていくことになります。

RLENは64でPattern Scaleと同じにしておきます。

5. Playbackトリガーの設定

各トラックのサンプルを再生するトリガーの位置を私はあえてバラバラにしています。

Track1: Step1

Track2: Step17

Track3: Step33

Track4: Step49にトリガーをおきます。

こうすることでレコーディングしたサンプルの再生タイミングをずらし、より複雑なレイヤーになります。原理的には原始的なディレイです。うまくタイミングを調整すればカノンのような構成にもできると思います。

(補足)Track1でStep1にトリガーを置くことについてですが、ビデオ作成時は正常に再生されていたのですが、同じプロジェクトで後日演奏した際にはTrack1のみ無音になりました。Step2にトリガーをおくと問題なく再生されました。Step1で再生できる時とできない時がある理由がまだわかりませんが、無音になる場合はStep2にトリガーを置いてください。

最後に

この方法を使うとシンプルなフレーズから複雑なサウンドスケープが生成できます。シーンの設定により時間をかければ、コントロール性と予測不可能性の間をフェーダーで調整することができるでしょう。

上記の設定ではレコーダートリガーを普通のトリガーにしているのでStep1を通過するたびに上書きされます。厳密には一般的なルーパーというよりも複雑なレイヤーを作るディレイというべきかもしれません。使ったことはないですが、Chase BlissのMoodはこんな感じになるのでしょうか。

より通常のルーパーとしての運用に近づけたければレコーダートリガーをワンショットトリガーにしておけば自分が望むときだけ上書きすることができます。

最新情報をチェックしよう!
jaJapanese