ウィーンで開催された、カールハインツ・シュトックハウゼンのSternklang(星の音)のコンサートを体験する機会に恵まれたので紹介します。
Sternklangは現代音楽家シュトックハウゼンが1971年に作曲した作品であり、5つのグループが公園で夜空の下で演奏するというコンセプトになっています。(https://en.wikipedia.org/wiki/Sternklang)
5つのグループの演奏はそれぞれ音楽的図形としての星座をもとに音程や音色を導き出しているとのことであり、各グループの演奏が合わさって一つの曲を形成しています。約3時間で一曲という長大な曲です。
観客は演奏されている間、自由に空間を移動することができ、思い思いの場所で過ごすことができます。場所が違えば当然聞こえてくるグループの音が変わり、主体的に音と空間を楽しむことができるようになっています。
今回開催されたのは屋内で、星空をみることはできませんでしたが(季節的に無理なのは当然ですが)、Reaktorという施設の空間的広がりや建物自体が持つ雰囲気も相まって、魅力的な非日常空間に仕上がっていました。それぞれ演奏される部屋の広さや構造が全く異なるので、グループ間の演奏内容の違いもさることながら、部屋ごとに違う音響体験も楽しむことができました。
観客は皆演奏者やダンサー(篝火を模したライトを手にし、部屋の間を移動しながらパフォーマンスしています)を眺めたり、じっと目を閉じて聞き入ったり、瞑想的な体験に浸ることができます。
本作品は演奏するにあたって、グループ構成や空間演出など、コンサート実現のためのハードルはなかなかに高いようです。MIKAMO Central European Chamber OrchestraとReakterの関係者の方々の努力には頭が下がります。
個人的にはこのような音楽的機会がもっと身近になってほしいと常々考えています。今回はこの作品を聴きにくる、という形で成立していますが、これまで興味のなかった人たちがふと街角で出会う、という位まで身近な存在まで浸透したらなあと思います。
今回のコンサートの詳細はこちらhttp:/mikamo.info/sternklangwien
会場のReakterについてはこちら