Octatrackの根本的機能を考える

Octatrackと再度向き合うにあたって、今までと同じ使い方ではつまらない。もっと根本的な、Octatrackならではの機能とは何かと考えていました。

以前の記事でも書いたように、Octatrackはサンプラー、エフェクター、ミキサー、ルーパー、MIDIシーケンサーなど、多彩な機能を一台で同時にこなす機材です。しかし「Octatrackだからこそできる使い方」を考えていくうちに、やはり「入ってくる音を記録し、再生する」という機能に立ち返ってみようと思い至りました。

Octatrackでは Recorder buffer(音を一時的に記録しておく場所)を最大8つ同時に使用できる。つまり最大8トラックのルーパーになるわけですが、それ以上に重要なのは、一つのRecorder bufferを複数のトラックで同時に使用できること。一度録音した素材を、別々のトラックで同時に、別々の処理を施して再生できる。これがハードウェア上でできる機材を、私は他に知りません。

この「Recorder bufferを複数トラックで共有できる」機能は非常に奥深く、一回の録音素材から生み出される音響の多様さに驚かされます。共有した複数トラックの音量をシーンで調整し、重ね合わせたときに立ち上がる音響には、ある種の無限性を感じます。

レコーダー機能とミキサー、フェーダーによるシーンの行き来——それだけで相当なバリエーションが作れてしまうので、最近はエフェクトを全て封印し、この録音・再生機能の奥深さに浸る方向でセッティングを続けています。

現在のセッティング

Track 1: Pickup(Recorder buffer 1を使用、外部Inputをソースに録音)

Track 2: Flex(Recorder buffer 2をアサイン、外部Inputをソースに録音、8 step)

Track 3: Flex(同buffer、16 step)

Track 4: Flex(同buffer、Rate=1のタイムストレッチで超低速再生)

Track 5: Static(今後長尺サンプルを再生したくなったとき用に予約)

Track 6: 予備

Track 7: Thru (シーンとクロスフェーダーで、リアルタイム入力音とTrack 1〜4のループ群をDJのようにトランジションするために設定)

Track 8: Master

この設定の狙い

① ポリリズム的なズレ トラックごとに独立したステップ長(Scale設定のPer Trackモード)にすることで、同じサンプルを鳴らしていても周期がズレ、予期せぬフレーズが立ち上がる。

② ピッチを保ったまま伸びるテクスチャ タイムストレッチをON(TSTR=AUTO等)にすると、どれだけ低速(Rate=1)にしてもピッチが維持され、金属的で不思議なテクスチャが現れる。

③ RAMの温存 Octatrackの録音用バッファとFlexマシンの再生用メモリは本体のRAM(合計85.5MB)を共有している。録音でRAMを使う分、長尺の再生はCFカードから直接読み込むStaticマシンに任せる、という分担。

今回は収拾がつかなくなるので封印していますが、さらにLFOでサンプルのスタートポイント(STRT)をランダムにモジュレートしたり、Trig Condition(確率トリガー)で再生タイミングに偶然性を持たせたりすれば、無限のジェネレーティブなシステムへと発展させることができる。

音響実験マシンとして、Octatrackの底はまだまだ見えない。

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